2008年1月7日(月)
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注入法

シワに対しては、
 1. フェイスリフトや
 2. ケミカルピーリングもしくはレーザーピーリング
 3. 日々のスキンケア
などありとあらゆる方法が導入されています。それぞれに有効な部分が異なっています。
シワの最も深い部分を「底上げする」方法として注入法があります。

1. コラーゲン

今まで述べてきたいろいろなシワに関わる皮膚の治療方法の他に、注射によりシワの最も深い部分に何らかの物質を注入し、底上げを図ろうとするものがシワに対する充填法(Filler)で、この方法の代表格はコラーゲンの注入です。
通常これらの物質は細い注射針によって皮膚のシワの最も陥凹している部分に注入されていくことになります。
注入される物質の種類としてはコラーゲン、ヒアルロン酸もしくは脂肪になります。
種類としては、1. 牛由来のコラーゲン、2. あなた自身の皮膚からえられるコラーゲンすなわちオートラーゲン、3. 再生医療であなたの皮膚の中のコラーゲンを培養増殖されたものを用いるイソラーゲン、4. 死んだ他人の皮膚からもってくるデルマラーゲンの4種類があります。

1. コラーゲン
このうち最も歴史の古いものは牛由来のコラーゲンを利用するものです。この方法によってシワの底上げは達成されます。そして、その効果は3ヶ月から6ヶ月続くことになります。その後これらのものは吸収され元の状態に戻ってしまいますから、この方法でシワに対処しようとするのであれば、3ヶ月から6ヶ月おきに注入を繰り返していく必要があります。この期間を延長させるべく大量のコラーゲンをシワの底に注射し、この部分が逆に盛り上がっているようにすることも可能ですが、時によってはこの状態が長く続き皮膚面の別の意味のデコボコ感を残すこともあります。注入されるコラーゲンは濃いものと薄いものとがあり、シワのある場所によってまたは術者の好みによって選択されています。
この方法では他の動物・牛の皮膚の一部が如何に処理されているとは言え注入されることになるので、このことに対してアレルギー反応を呈する場合があります。ですから、この施術を受ける前に少なくとも4週から6週の間隔を開けてテスト注射を行い、本剤に対しアレルギー反応が生じないことを確かめておく必要があります。また、このアレルギー反応は数度使用した後にも突然に生ずることがあるとされています。この確率は大変少ないものですがゼロではないことをお含みおきくだい。
この他牛由来であるがゆえに、現在狂牛病との関係が取り沙汰されています。このことに対する安全性や、この注射により皮膚の特別な病気が生ずる可能性が科学的に証明された証左は現在のところありません。

2. オートラーゲン(自家製コラーゲン)
あなたの切り取られた皮膚からコラーゲンを抽出し、このものをシワの底に注入する方法です。この方法の利点は牛由来のコラーゲンを使用するのとは異なり、あなた自身のコラーゲンを使用している訳ですから、特殊なアレルギー反応が起こったり、何か特別の病気を引き起こす引き金になるとは考えられていません。

3. イソラーゲン
これは比較的新しいテクノロジーで、あなたの耳の後などから採った小さな皮膚の組織を特殊な研究所で数週間かけて再生医療の技術を用いて増殖させて得られた液体のことです。このイソラーゲンの中に含まれている物質はコラーゲンというよりもその核となるファイブロブラストの塊りでまさに再生医療であります。

4. デルマラーゲン
牛の代わりに、人間の死体の皮膚から作られた注入用のコラーゲンのことです。ただ、死体からいろいろな組織を持ち出していろいろな組織を移植することは、日本においては大変難しい方法です。


2. 脂肪注入


脂肪の注入はご自分の体の中にある不要な脂肪を吸引し、その脂肪をその場で精製しながら注入することができるので、方法論としては大変優れています。ただし、注入されるものが脂肪であるという関係から、これを脂肪組織内に小量注入して、その後の増大を図ることは可能であっても、これを皮膚自体に注入しシワの底上げを図ろうとしてもおそらく上手くいくことはないと考えられます。
そして注入される脂肪の精製の方法や、脂肪自身の吸引の方法で大きくその結果は左右されます。また、脂肪注入を受ける部位の皮膚が厚い場合には、比較的容易にこの方法が用いられたとしても、皮膚の薄い眼瞼部などで用いた場合には注入部位にデコボコが生じる可能性をもっています。このためにこの方法に熟達した術者は、それなりに工夫した注入方法や脂肪の精製方法をもっているものです。
注入された脂肪の生着はある程度限られたものです。また、一部位の増大のために少なくとも2〜3ヶ月の間隔をあけて、3〜4回の施術の施行が不可欠なことになります。


3. ヒアルロン酸

コラーゲンとヒアルロン酸を比べると、コラーゲンに認められるアレルギー反応がヒアルロン酸には無いとされていますが、この点も今後充分な検討が必要だと思っています。
その効果は一定期間にとどまり、効果を保つためにはその都度注入していく必要があります。
比較的手軽な方法ですから多くの方に受け入れられていますが、これらを例え何回行っても、手術のような効果を得ることはありません。


4. ボトックス

ボトックスはアメリカ・アラガン社のボツリヌス毒素の製品に対する商品名です。世界的には他にも数社同様の効能の薬剤を販売していますが、あまりにもボトックスという言葉が有名になったために、他の全ての薬剤の治療においてもボトックス療法と呼ばれてしまっているのが現状だと思います。
この薬は筋肉に直接注射することにより、筋肉を動かす運動神経の最終末において筋肉を収縮するために産生されるアセチルコリンという物質の働きを阻止する働きをもっています。したがって、この注射をした部位の筋肉は、言わば麻痺の状態に陥ると思ってください。この薬剤の効能効果は古くから知られているところで顔面痙攣や、痙性斜頚あるいは反回神経麻痺による嗄声の治療などに古くから用いられてきた薬剤です。
そしてこの筋肉を麻痺させる効果を表情筋に応用したものがボトックスによる表情ジワの治療ということになります。この薬の効果は極めてきれのよいもので、細い針で目的とする筋肉に薬を注射すると、3日以内には効果が現れ、少なくとも2ヶ月、長ければ半年にわたって筋肉の収縮を弱めます。この薬は、額を横走するシワや眉間のシワ、カラスの足跡と呼ばれる目の外側にできるシワなどの表情ジワに効果があり、表情ジワをつくる表情筋を麻痺させることにより、シワが消失することになります。
実際の治療においては、とても細い針を用いてごく小量のボツリヌス毒素を注射するだけですので、大変お手軽な表情ジワに対する治療法ということになるでしょう。
ただし、この薬は効果が非常に高い反面、注射する部位や量が不適切であると、顔が左右非対称になったり、釣り上がり気味の眉毛になってしまうなど、期待していないことが起こることがあります。そういった意味でも、顔の表情の筋肉や皮膚の状態をしっかりと診察し、医師と一緒に最適の注射ポイントを見つけ出して行く必要があります。
なお、ボトックス療法は“ボツリヌス菌”という “菌”を注射すると誤解されている場合がありますが、それは間違いです。実際は菌が産生するタンパク質を極微量注射するもので、菌自体を注射するわけではありません。ですので、決して体内で菌が増殖して悪さを働くような事にはなりません。
そしてこれは日本における特殊な事情なのですが、これまで日本国内ではボトックスをシワの治療に用いることは正式には認可されておらず、医師による個人輸入品が使われていました。しかしながら、2009年1月に、厚生労働省より「65歳未満の成人に対する眉間の表情ジワ」への使用が認可され、2009年2月にグラクソ・スミスクライン(株)という製薬会社から「ボトックスビスタR」という製品名で発売されました。ボトックスは本来、品質管理の難しい医薬品ですし、まったくの模倣品や中国製や韓国製の製品も出回っています。こうしたなかで、日本でもボトックスビスタRが発売されたことにより、品質の保証された製剤を入手できるようになりました。当院においてはこの「ボトックスビスタR」を使用しています。
最後にこの方法によってシワが消えているということはその部分の表情筋が麻痺しているということですから、あなたにとってはある種の表情はこの薬が有効に作用している間作り出すことはできません。


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